認知の種類
認知の種類には、
- 任意認知
親が自由な意思によってするもの
- 審判認知
家庭裁判所の調停で認知の合意が成立し、審判によってなされる認知
- 強制認知
親が認知しない場合に子の側から裁判所に訴えてなされる認知
任意認知
任意認知の方法は、戸籍の届出によってすることになります(民法781条1項、戸籍法60条)。
一般的に認知といえば、この形式でしょう。
認知します、と言っただけ、または、誓約書を書いただけでは、それだけでは認知をしたことにならないのです。
認知について形式は厳格です。
ただ、認知をするには認知届を提出するのですが、父が認知届でなく出生届を提出してそれが受理されると、その出生届には認知届としての効力が認められることになっています。
(認知の方式)
民法第781条
認知は、戸籍法 の定めるところにより届け出ることによってする。
戸籍法第60条 認知をしようとする者は、左の事項を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。
1.父が認知をする場合には、母の氏名及び本籍
2.死亡した子を認知する場合には、死亡の年月日並びにその直系卑属の氏名、出生の年月日及び本籍
また、遺言によって認知をすることもできると民法781条2項で規定されています。
この場合には、認知届が必要なのですが、父は死亡していて提出できないので、父が死亡すると同時に認知の効力が生じることになります。
審判認知
この場合、強制認知と同じで、子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人が訴えの提起または調停の申立をすることができます。
子供が、未成年者の場合、母親が法定代理人となります。
家庭裁判所に認知を求める調停を申し立てて、親子関係の鑑定を求めたりしてDNA鑑定なども行うことができます。
裁判官や調停委員の面前で話し合うことになります。
女性側が男性に認知を求めるなら、自分の子供であることは承知しているのに、認知してくれるように頼んでも、認知してくれない男性にはこの方法で認知をさせるのもいい方法かもしれません。
裁判での認知の場合は、審判の申立人または訴えを提起した者が、裁判が確定した日から10日以内に認知届をすることになります。認知届には、審判または判決の謄本及び確定証明書を添付することになります。
強制認知
ある一定の人(子、その直系卑属(子、孫など)またはこれらの法定代理人)が訴えることによって、認知請求の訴えをすることができます。
この場合、被告となるのは、父または母となるべき者になります。(民法787条本文)。
もし、父または母が死んでしまったら・・・・
検察官を相手方とする(人事訴訟法42条)という規定があります。
しかし、父または母が死亡した日から3年を経過すると認知の訴えは提起できなくなってしまいます。(民法787条但書)。
(認知の訴え)
民法第787条
子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。ただし、父又は母の死亡の日から三年を経過したときは、この限りでない。
第42条(認知の訴えの当事者等)
認知の訴えにおいては、父又は母を被告とし、その者が死亡した後は、検察官を被告とす
る。