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嫡出でない子(非嫡出子)に対する差別

不倫の末にできた子は、男性が認知をすると、非嫡出子という法律上の身分が与えられることになります。

 

嫡出子と非嫡出子とでは、問題がでてくる場面。
それは、
父が死亡した場合に取得できる遺産の法定相続分に違いがあること。

 

法律上の一番の問題点とされているのは、この点900条4 号です。

 

(法定相続分)
第900条
同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
一  子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
二  配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。
三  配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。
四  子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一とし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする

結論としては、非嫡出子は嫡出子の2分の1の相続分しか認められないところです。
日本での今までの判例としては、憲法違反ではないか、というところに焦点が移ってきています。
最近では、非嫡出子の相続分について高裁レベルで違憲判決もでています。

 

非嫡出子は何の罪も犯していないにもかかわらず、 嫡出子と比較して法律上、冷遇されてしまう憲法第14条に定める「法の下の平等」に抵触するという意見が強いところです。

 

判例の、補足意見の多くが、900条4 号を積極的に合憲と解釈するのではなく、違憲判決を下すに値するような明白な違憲状態に至っていないという認識に基づいている、と結論づけていまだ合憲、ということになっています。

 

この最高裁判所での判例が、積極的に変更されない限りは、嫡出でない子(非嫡出子)に対する差別は解消しないかもしれません。

 

イギリス、フランス、アメリカでもかつては、非嫡出子に対する差別を公然と認める法制度が存在していました。
しかし、これらの国の非嫡出子差別条項は1970年代までに撤廃されています。

 

ただし、もし、認知すらされないと法律上は、「他人」ということになります。